6月は気温が上がる日も増え、愛犬・愛猫の暑さ対策を意識し始める時期です。
この時期にあわせて注意したいのが、ノミ・ダニ・蚊による感染症のリスク。
「うちは室内飼いだから大丈夫」
「なんだかんだ毎年問題ないし……」
そう思っている飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、ノミやダニ、蚊による感染症は、外で過ごす犬だけの問題ではありません。
ネコノミは人の衣服や靴に付着して室内へ持ち込まれることがあり、完全室内飼いの犬や猫でも被害にあう可能性があります。
特に熊本は、春から梅雨、夏にかけて気温と湿度が上がりやすい地域です。
ノミ・マダニ・蚊が活発になりやすい季節だからこそ、早めの予防が大切になります。
この記事では、犬や猫のノミ・ダニ・フィラリア予防について、基本情報から知っておきたい予防時期、薬の選び方などを解説します。
※予防薬の種類や投与期間は、犬・猫の年齢、体重、健康状態、生活環境によって異なります。自己判断で市販薬や犬用薬を使用せず、必ず動物病院で相談してください。
ノミ・ダニはどこから来るの?

ノミやマダニは、目に見えにくい小さな寄生虫です。
「外に出なければ大丈夫」と思われがちですが、実際にはさまざまなルートで犬や猫の体に付着します。
特に、散歩に行く犬はもちろん、ベランダや庭に出る猫、完全室内飼いの猫でも注意が必要です。
ノミの侵入ルート
ペットに寄生するノミの多くは「ネコノミ」です。
名前に「猫」と付いていますが、犬にも人にも吸血することがあります。
ノミは体長2〜3mmですが、目視できるサイズ。
ジャンプ力が高く、犬や猫の体、衣服、カーペット、寝具などに入り込むと、室内で繁殖してしまうこともあります。
特に厄介なのは、成虫だけでなく卵や幼虫、さなぎが室内環境に残りやすいことです。
一度増えてしまうと、ペットの体だけでなく、ソファ・カーペット・ベッドなどの環境対策も必要になります。
主な侵入ルートは以下のとおりです。
- 散歩中の草むら
- 飼い主の衣服や靴
- 野良猫や他のペットとの接触
- ドッグラン、ペットホテル、動物病院など犬猫が集まる場所
- 庭、ベランダ、玄関まわり
完全室内飼いの猫でも、飼い主が外から持ち込む可能性があります。
そのため、「外に出ない=絶対にノミがつかない」とは言い切れません。
マダニ(ダニ)の侵入ルート
マダニは、ノミのようにジャンプして飛びつくのではありません。
草むらなどで待ち伏せし、犬や猫、人が通りかかったときに体へ付着します。
体温・ニオイ・振動・二酸化炭素などを感知して宿主を探すため、公園・河川敷・山道・草の多い場所では特に注意が必要です。
マダニは吸血後には大きく膨らみます。
皮膚に「イボのようなもの」が付いているように見えて、よく見るとマダニだったというケースもあります。
マダニが付きやすい場所は、以下のような部分です。
- 耳のまわり
- 目のまわり
- 首まわり
- 脇
- お腹
- 股
- 指の間
- しっぽの付け根
散歩や外出のあとに、これらの部分をチェックする習慣をつけておくと安心です。
ノミ・ダニが引き起こす病気

「少しかゆがっているだけ」
「黒い粒があるけど、汚れかな?」
そう思って見過ごしてしまうと、皮膚トラブルだけでなく、感染症につながることがあります。
ノミやマダニは、単にかゆみを起こすだけではありません。犬や猫、場合によっては人にも影響する病気を媒介することがあります。
ノミが引き起こす主な病気
代表的なトラブルには、以下のようなものがあります。
| 病気・トラブル | 主な症状・特徴 |
|---|---|
| ノミアレルギー性皮膚炎 | 腰や背中まわりの強いかゆみ、脱毛、赤み、皮膚炎 |
| 瓜実条虫症 | グルーミング中にノミを飲み込むことで感染。 下痢や嘔吐が見られることも |
| 猫ひっかき病 | ノミが関与することがあり、人に感染すると発熱やリンパ節の腫れが起こることも |
ノミの糞は、毛の根元に黒い粒のように見えることがあります。
濡らしたティッシュの上に置いて赤茶色ににじむ場合は、吸血した血液を含むノミの糞の可能性があります。
黒い粒、強いかゆみ、脱毛がある場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
マダニが引き起こす主な病気
マダニは、犬や猫、人にさまざまな感染症を媒介することがあります。
| 病気 | 主な特徴・危険性 |
|---|---|
| バベシア症 | 犬で問題になることがある病気。 赤血球が壊され、貧血や発熱を起こすことがある |
| SFTS | 重症熱性血小板減少症候群。 犬・猫・人に感染することがあり、重症化する場合も |
| ライム病 | 人にも感染することがある病気。 発熱、関節痛、神経症状などが出ることが多い |
特に注意したいのが、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)です。
SFTSは、マダニに刺されることで感染することがある病気です。
また、感染した犬や猫の血液・体液などに触れることで、人に感染したと考えられる事例も報告されています。
報告によって差はありますが、SFTSは犬や猫でも重症化することがあり、人でも命に関わることがあります。
実際に、SFTSに感染した猫を診察した獣医師が亡くなった事例も報告されています。
「うちの猫は外に出ないから関係ない」と思っていても、飼い主の衣服や靴にマダニが付いて室内に入る可能性はゼロではありません。
マダニは見つけても、無理に引き抜かないことが大切です。
口の部分が皮膚に残って炎症を起こすことがあるため、見つけた場合は動物病院で除去してもらいましょう。
フィラリアも6月から要注意

ノミ・ダニとあわせて、6月に意識したいのがフィラリア予防です。
フィラリア症は、蚊が媒介する寄生虫の病気です。
「犬の病気」というイメージが強いかもしれませんが、猫にも感染することがあります。
フィラリア症とはどんな病気?
フィラリア症とは、蚊を介して感染するイヌ糸状虫が、犬の心臓や肺の血管などに寄生する病気です。
感染初期はほとんど症状が出ないこともあります。
そのため、飼い主が異変に気づいたときには、すでに進行しているケースもあります。
犬で見られる主な症状には、以下のようなものがあります。
- 咳をする
- 呼吸が荒い
- 元気がない
- 疲れやすい
- 食欲が落ちる
- お腹がふくれてくる
- 血尿が出ることがある
重症化すると、命に関わることもあります。
猫の場合は犬よりも診断が難しく、少数のフィラリアでも重い症状を起こすことがあります。
咳や呼吸困難、嘔吐、元気消失のほか、突然死につながることもあるため注意が必要です。
犬だけでなく、室内飼いの猫もフィラリア予防の対象として考えることが大切です。
予防薬の選び方

ノミ・ダニ・フィラリアの予防薬には、さまざまな種類があります。
「どれを選べばいいの?」と迷うかもしれませんが、大切なのは、体質や生活スタイルに合ったものを選ぶことです。
また、予防薬は種類によって、対象となる寄生虫や投与のタイミングが異なります。
ノミ・ダニだけに対応するもの、フィラリア予防も一緒にできるものなどがあるため、自己判断で選ぶのではなく、必ず動物病院で相談しましょう。
熊本での予防期間の目安
熊本では、春から秋にかけて蚊が活動しやすくなります。
そのため、フィラリア予防は一般的に4月〜12月ごろを目安に案内している動物病院が多め。
ただし、予防期間は地域や年ごとの気温、生活環境によって変わります。
室内で過ごす時間が長い子、庭やベランダに出る子、散歩コースに水辺や草むらが多い子などでもリスクは異なります。
近年は暖かい時期が長くなっているため、動物病院によっては通年予防をすすめることもあります。
熊本での目安としては、以下のように考えておくとよいでしょう。
| 予防内容 | 目安 |
|---|---|
| フィラリア予防 | 4月〜12月ごろが目安 |
| ノミ・ダニ予防 | 春〜秋を中心に、生活環境によっては通年予防も検討 |
| 開始・終了時期 | 必ずかかりつけの動物病院で相談 |
「去年と同じで大丈夫」と自己判断するのではなく、毎年、動物病院で確認しておくと安心です。
予防薬を使う前に確認したいこと
フィラリア予防を始める前には、感染の有無を確認するための検査が必要になることがあります。
特に犬の場合、すでに感染している状態で予防薬を投与すると、体内の幼虫が一気に死滅し、体に負担がかかることがあります。
場合によっては重い副反応につながることもあるため、自己判断で薬を始めるのは危険です。
また、フィラリア予防薬は「これから蚊に刺されないようにする薬」というより、前の月に感染した可能性のある幼虫を駆虫する薬として考える必要があります。
そのため、蚊を見かけなくなったからといってすぐにやめてしまうと、最後に感染した幼虫を駆虫できない可能性があります。
フィラリア予防は、始める時期だけでなく、終わらせる時期も大切です。
ノミ・ダニ予防についても、すでに寄生している場合や、皮膚に赤み・かゆみ・脱毛などがある場合は、自己判断で市販薬を使う前に動物病院へ相談しましょう。
タイプ別の特徴
予防薬には、大きく分けて以下のようなタイプがあります。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| スポットタイプ | 首や背中に垂らすタイプ。薬を飲むのが苦手な子に使いやすい |
| 経口タイプ | おやつ感覚で食べられるものもあり、飲める子には続けやすい |
| オールインワンタイプ | ノミ・ダニ・フィラリアなどをまとめて予防できるものがある |
スポットタイプは、薬を飲むのが苦手な子におすすめ。
一方で、投与後しばらくはシャンプーや水濡れに注意が必要な場合もあります。
経口タイプは、食べることが好きな子に。
ただし、吐き戻しや食物アレルギー、持病がある場合は注意が必要です。
オールインワンタイプは、複数の予防をまとめて管理しやすいのがメリットです。
飲み忘れ防止にもつながりますが、すべての子に合うとは限りません。
予防薬は「人気だから」「安いから」ではなく、その子に合うかどうかで選ぶことが大切です。
犬用・猫用は必ず区別すること
絶対に注意したいのが、犬用と猫用の薬を間違えないことです。
犬用のノミ・ダニ薬の中には、猫にとって危険な成分が含まれるものがあります。
特にピレスロイド系の成分は、猫に使用すると中毒を起こし、命に関わることがあります。
「少量なら大丈夫」
「犬に使えたから猫にも使える」
このような判断はとても危険です。
- 犬用を猫に使わない
- 体重に合わない薬を使わない
- 人間用の虫よけや薬を自己判断で使わない
- 市販薬を使う場合も必ず獣医師に相談する
同じ家で犬と猫を飼っている場合は、犬に投与した薬を猫がなめてしまう可能性にも注意が必要です。
薬だけではダメ!環境対策も忘れずに

予防薬はとても大切ですが、それだけで完全に安心とは言い切れません。
特にノミは、ペットの体だけでなく、部屋の中にも卵や幼虫、さなぎが残ることがあります。
そのため、体の予防と室内環境の対策をセットで行うことが重要です。
室内でやること
ノミ対策では、ペットがよく過ごす場所を中心に掃除することが大切です。
- ペットベッドをこまめに洗う
- ソファやカーペットに掃除機をかける
- 部屋の隅や家具の下も掃除する
- 毛布やクッションを洗濯・乾燥する
- 湿気がこもらないように換気する
- 多頭飼いの場合は全頭まとめて予防する
ノミは湿気のある環境を好みます。
熊本のように梅雨時期に湿度が上がりやすい地域では、室内の湿度管理も意識したいところです。
また、1頭だけ予防しても、同居している犬猫にノミが残っていれば再び寄生することがあります。
多頭飼いの場合は、必ず全頭分の予防について動物病院で相談しましょう。
散歩・外出後のチェック
犬の場合、散歩後のチェックも大切です。
特に、草むらや河川敷、公園、山道に行ったあとは、マダニが付いていないか確認しましょう。
チェックしたい場所は以下です。
- 耳の裏
- 首まわり
- 脇
- お腹
- 股
- 足先
- 指の間
- しっぽの付け根
マダニを見つけても、無理に引き抜いてはいけません。
口の部分が皮膚に残り、炎症や化膿の原因になることがあります。
マダニを見つけたら、できるだけ早く動物病院で取ってもらいましょう。
こんな症状があったらすぐ受診を

ノミ・ダニ・フィラリアは、早めに気づくことが大切です。
次のような症状がある場合は、自己判断せず、動物病院に相談しましょう。
- 体を激しくかいている
- 皮膚を噛む、なめ続ける
- 毛の根元に黒い粒がある
- 赤い発疹がある
- 脱毛している
- 皮膚にイボのような膨らみがある
- 元気がない
- 食欲が落ちている
- 咳をする
- 呼吸が荒い
- 散歩を嫌がる、疲れやすい
特に、皮膚にイボのような膨らみがある場合は、吸血したマダニの可能性があります。
また、咳や呼吸の異常、元気消失などはフィラリアを含むさまざまな病気で見られる症状です。
「暑いからかな」「年齢のせいかな」と様子を見すぎず、早めに診てもらうことが大切です。
犬・猫を守る予防の3原則

ノミ・ダニ・フィラリアに共通しているのは、気づいたときには症状が進んでいることがあるという点です。
だからこそ、症状が出てから慌てるのではなく、元気なうちから予防しておくことが大切です。
早めに始めること
熊本では、春から秋にかけてノミ・ダニ・蚊が活発になりやすくなります。
フィラリア予防は4月〜12月ごろを目安に案内されることもありますが、生活環境によって適切な期間は異なります。
6月からでも遅すぎるとは限りません。
まだ予防を始めていない場合は、まずは動物病院に相談しましょう。
続けること
予防薬は、1回使えば終わりではありません。
種類によって投与間隔は異なりますが、多くは定期的な投与が必要です。
特にフィラリア予防は、途中でやめてしまうと予防が不十分になる可能性があります。
「始めること」だけでなく「続けること」が、愛犬・愛猫を守るポイントです。
環境もセットで整えること
ノミ・ダニ対策は、薬だけでなく室内環境の管理も重要です。
ペットの寝床、カーペット、ソファ、毛布などは、ノミの卵や幼虫が残りやすい場所です。
こまめな掃除や洗濯、湿度管理を取り入れることで、再寄生のリスクを下げることができます。
体への予防薬と、暮らす場所の清潔をセットで考えることが大切です。
ノミ・ダニ・フィラリアは、どれも犬猫の健康に大きく関わる問題です。
しかし、適切な予防薬の継続や環境対策によって、リスクを大きく下げることができます。
大切な家族を守れるのは、毎日そばにいる飼い主さんです。
熊本の暑く湿気の多い季節に備えて、今できる予防から始めてみてください。
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